「鍵泥棒のメソッド」

  • 2012/09/20(木) 02:05:38

作品名:鍵泥棒のメソッド
監督・脚本:内田けんじ
音楽:田中ユウスケ
主題歌:吉井和哉「点描のしくみ」
出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々、森口瑤子、小山田サユリ、木野花、小野武彦、etc.
[2012年/日本/128分]

新宿バルト9で鑑賞。内田けんじ監督作品が大好きで過去3作も見てきたので本作も楽しみにしてました。

売れない貧乏役者・桜井(堺雅人)、記憶喪失の殺し屋・コンドウ(香川照之)、婚活中の女性編集長・水嶋香苗(広末涼子)の3名が絡み合いながら進むストーリー。

前作「アフタースクール」は正直期待を裏切られた感がありましたが(個人的に好きじゃなかった)、本作では内田けんじ監督の「らしさ」が復活。クルクルと目まぐるしく変化していく物語は、確実に計算されており緻密な脚本であることが作品を楽しみながら実感できます。まさに映画のための脚本という感じ。お見事!

また、キャスティングもよかった。主演の3名はもちろんですが、例えば、シリアスで無表情な荒川良々が演じたヤクザは作品世界に緊張感を与え続け、目が離せなかった。ヨーロッパ企画の劇団役者などもチョイ役で出てきたりとニヤリとしてしまう脇役キャストもマニア心をくすぐります。売れない役者が登場人物ゆえの劇中での演劇論や演技力をめぐるやりとりもついついニヤニヤとしてしまいます。

三十代になると壊れてしまうという胸キュンマシーン。映画を通して感じてください。そして笑ってください。

感動とは違った、ある意味でマニアックな作品かもしれませんが、純粋に娯楽作品として楽しみ、内田監督のスキルとテクニックを堪能できる作品だと思います。ボクは個人的に大満足。

公式HP:http://kagidoro.com/

DVD「人のセックスを笑うな」

  • 2009/03/16(月) 00:51:01

作品名:人のセックスを笑うな
監督:井口奈己
脚本:井口奈己、本調有香
原作:山崎ナオコーラ
音楽:HAKASE-SUN
出演:永作博美、忍成修吾、温水洋一、蒼井優、あがた森魚、市川実和子、桂春團治、藤田陽子、松山ケンイチ、MariMari、etc.
[2007年/日本/137分]

DVDにて観賞。

山崎ナオコーラの同名小説が原作。地方の美術大学(?)で学ぶ19歳のみるめ(松山ケンイチ)は20歳年上の非常勤講師・ユリ(永作博美)と恋に落ちる。そんなみるめに思いを寄せるえんちゃん(蒼井優)や、えんちゃんに思いを寄せる堂本(忍成修吾)。若い彼らは恋を通して少しずつ大人になっていく・・・。

永作、松ケン、そして蒼井優。実力派の役者陣が顔をそろえて、しかも刺激的(?)なタイトルの作品。大いに期待をしての鑑賞でしたが・・・。うーん、役者の演技はとても良いのに作品そのものにインパクトがなく正直期待はずれな印象。また、作品タイトルも明らかにその内容に対して過剰で作品のマイナスイメージに貢献してしまっています。原作は読んでいませんが、作品は原作に忠実なのかな?

この手のストーリーにはやはり美術学校や音楽学校が安パイなんですかね。経済学部や理工学部じゃ、やっぱムリすか(笑)。それにしても美術学校を舞台にしている作品にも関わらず、作品からは美的センスのようなものがあまり感じられず、田舎の風景とマッチして少々寂しい雰囲気になっています。これが狙った演出だったのかが気になるところ。

評価できるのは、主要キャストのあまりにもリアルで自然体な台詞と演技。キスを重ねながらの永作と松ケンの会話などは見ごたえがありました。ただし、永作にしろ、松ケンにしろ、役者本人としての魅力は伝わってきますが、どうしてもキャラクターとしての魅力に結びついていなかったようにも感じます。しいてキャラクターとしても成立していて見事にハマっていたのは蒼井優だったんじゃないかなと個人的には思う次第。

あくまで役者鑑賞に主眼を置けば大いに楽しめる作品。しかし、残念ながら作品の上映時間の長さや意味不明なカメラの長回しなど、気になる部分も多く、脚本や演出については不満が残ります。期待も大きかっただけに残念な結果となってしまいました。

みなさんも自分の目でご判断あれ。

人のセックスを笑うな

DVD「キトキト!」

  • 2009/03/08(日) 22:26:11

作品名:キトキト!
監督:吉田康弘
脚本:吉田康弘、祷映
音楽:増本直樹
出演:石田卓也、大竹しのぶ、井川比佐志、光石研、伊藤歩、平山あや、尾上寛之、木下ほうか、鈴木蘭々、春海四方、etc.
[2006年/日本/109分]

DVDにて鑑賞。

富山県高岡市に暮らす齋藤家。“スーパー智子ちゃん”と呼ばれる母親(大竹しのぶ)は女手ひとつで美咲(平山あや)と優介(石田卓也)を育て上げた。しかし美咲は駆け落ちして数年前に家を出て行き、今ではホステス。一方、なんとか高校まで入った優介も高校を中退して友達とともに上京しホストの道へ。母親と姉弟たちの家族の絆はどうなってしまうのか・・・。

富山弁でキトキトとは「生きがいい」の意味。本作品ではまさに生きのよいお母ちゃんが描かれています。何が良いって母親役の大竹しのぶの存在感が秀逸。母親としての力強さと子どもを見守る温かさに溢れる母親を見事に体現しています。

ほかにも個人的に大好きな女優さんの1人である伊藤歩も大竹しのぶに次ぐ存在感を見せてくれニンマリ。

母親にとっての生きた証は二人の子どもたち。コテコテですけど、泣けますね。やっぱりいつまでたっても子どもは子ども。母親の偉大さを再認識させてくれる映画でもありました。

長らく両親にあっていない人、実家に帰っていない人、軽き気持ちでご覧あれ。

キトキト!




DVD「転々」

  • 2009/02/14(土) 11:19:40

作品名:転々
監督・脚本:三木聡
原作:藤田宜永「転々」(新潮社刊)
音楽:坂口修
出演:オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松了、ふせえり、松重豊、岸部一徳、笹野高史、石原良純、鷲尾真知子、広田レオナ(広田玲央名)、石井苗子、麻生久美子、風見章子、etc.
[2007年/日本/101分]

DVDにて観賞。

多額の借金を抱える大学8年生の文哉(オダギリジョー)の部屋に取立屋の福原愛一郎(三浦友和)が乗り込んできた。借金返済の期限が迫る中、再び文哉の前に現れた福原は借金を帳消しにする策を提案した。それは、最終目的地である霞ヶ関・桜田門まで福原の「東京散歩」に付き合うこと。こうして2人の東京散歩が始まった。。。

おもしろい。ジワジワとそのぬくもりが伝わってくる、ゆるーいハートウォーム作品に仕上がっているのが素晴らしい。

違和感すら感じさせる長髪姿で登場の三浦友和はインパクト大。そんな彼が文哉との絡みの中で見せる父親のような大きさ、温かみ。何ともいえない安心感、心地良さをさりげない演技で見せてくれました。お見事。

もちろんオダギリも好演。借金を抱えるダメ学生で両親の愛情に飢えている文哉という難しい役どころを、その表情や流石の存在感で見事に演じています。つくづく思うが彼の眼ヂカラ、眼差しで演じるその表現力のすごさ。本作もハマり役でした。

作品の中で最も印象的なのが擬似家族を演じる一連のシーン。これがなんとステキなことか。三浦友和、小泉今日子、オダギリジョー、吉高由里子の4人が織りなす家族の姿が本当に温かくて癒されます。小泉今日子の母親姿って本当にホッとさせてくれます。また、吉高由里子が何とも可愛いキャラクターを独特の存在感で演じていたのも印象に残ります。

一方、遊び心もいっぱい。「時効警察」メンバーも実に生き生きとはしゃいでいます。そして時効警察ファンなら麻生久美子の登場シーンには萌えるはず(笑)。
個人的には頭のにおいをホースで嗅ごうとする話や「岸部一徳」がらみのシーンが最高に楽しめました。

上演時間も長すぎず短すぎず絶妙。誰もがリラックスして楽しめる。万人にぜひお薦めしたい秀作です。

映画「転々」

DVD「自虐の詩」(ネタバレ有)

  • 2009/01/27(火) 23:59:23

作品名:自虐の詩
監督:堤幸彦
脚本:関えり香、里中静流
原作:業田良家「自虐の詩」(竹書房刊)
音楽:澤野弘之
出演:中谷美紀、阿部寛、西田敏行、カルーセル麻紀、遠藤憲一、アジャ・コング、岡珠希、丸岡知恵、蛭子能収、松尾スズキ、島田洋八、金児憲史、ミスターちん、竜雷太、佐田真由美、名取裕子、etc.
[2007年/日本/115分]

DVDにて観賞。

業田良家の同名4コマ漫画が原作。バクチ好きで乱暴者の葉山イサオ(阿部寛)は気に入らないことがあるとすぐにちゃぶ台をひっくり返す。そんなイサオをラーメン屋で働きながら甲斐甲斐しく支える森田幸江(中谷美紀)は幼いときから不運続きの幸薄い女。そんな幸江とイサオのフシギな愛情関係を描いた作品。

原作は読んだことがないが、なんとも理解しがたい2人の関係が時にコミカルに、時に感動的に描かれていました。長髪の阿部寛はマトリックス風なのだがなんとも切ないキャラクターで思わず吹いてしまった(笑)。

前半、ちゃぶ台返しのスーパースロー映像はまさにマンガ的で可笑しい。一転、後半になると作品の雰囲気は変化し、最後はなんとも愛すべき感動モードへ。これってどうなのか少々疑問。

最後に幸江が発する台詞が映画で伝えたかったメッセージの代弁か。

幸や不幸はもういい
どちらにも等しく価値がある
人生には明らかに意味がある

おもしろいっちゃーおもしろいが、おもしろくないっつちゃーおもしろくない。(タモさん風に読んでほしい)

自虐の詩

DVD「クローズド・ノート」

  • 2009/01/23(金) 08:34:17

作品名:クローズド・ノート
監督:行定勲
脚本:吉田智子、伊藤ちひろ、行定勲
原作:雫井脩介「クローズド・ノート」(角川書店刊)
音楽:めいなCo.
出演:沢尻エリカ、伊勢谷友介、竹内結子、永作博美、サエコ、黄川田将也、篠井英介、石橋蓮司、中村嘉葎雄、田中哲司、板谷由夏、粟田麗、etc.
[2007年/日本/138分]

「別に・・・」で一躍ケチが付いちゃった本作品。今更ですがDVDにて鑑賞しました。

引っ越し先のアパートで前の住人が置き忘れた1冊のノートを発見した女子大生・堀井香恵(沢尻エリカ)。興味本位で中を開くとそこには小学校教師・真野伊吹(竹内結子)の日記が綴られていた。バイト先の万年筆屋で客の画家・石飛リュウ(伊勢谷友介)に恋をした香恵は、伊吹の日記を読み進めながらそこに元気や勇気をもらう。そして、いつしか伊吹の気持ちと自身の気持ちをシンクロさせていく・・・。

基本的に映画女優としての沢尻エリカは評価しているボクとしては、それなりに楽しめる作品でした。また、竹内結子が演じる先生があまりにもキュートでハマり役でした。純粋で一生懸命、だけど恋には不器用な女性教師。いい味出してました。ほかにも万年筆がとても良い小道具として使われており、店頭での永作博美演じる先輩店員とのやりとりが印象に残ります。

とはいえ、描かれているシーンやそこに登場する人物たちはまさに虚構の世界。あまりに美しすぎ。それだけにリアルを求めるが故に小学校教師・真野伊吹(竹内結子)と子どもたちの触れ合いのシーンや画家・石飛リュウ(伊勢谷友介)の存在に抵抗を感じてダメだぁとなってしまう人もいるかもしれません。

どうでもいいことですが、リュウの作品の作風の違いに少々引っかかりました。感動的なシーンを大いに支えることとなる伊吹の姿を描いた絵と、他の人々を描いた絵が明らかに手法の違う絵となっているのです。特別な人だからこその違いってことで片付けられちゃうもの?!

138分と少々長めの作品ですが、もう少しコンパクトになると見やすかったかもね。

クローズド・ノート